
私の周りの人はみんな大好き、チョイ古(といっても35年程前)の馬のマークの赤い車です。
この車両はFerarri 328GTSで、後期のABS装着モデルです。
そのABS界隈の皆さんが 色々駄々をこねてトラブルになっているので、
しっかり整備して楽しく運転出来るように作業をやっていきます。
この車両はあるオーナーさんが長期にわたって大切に所有されている物ですが、
ここ数年は基本格納状態であまり乗られていませんでしたが、
久しぶりに乗った時にブレーキに違和感を感じたそうで、
一度しっかり点検してほしいとお預かりすることになりました。
軽く試乗してみると確かに違和感が有ります。エアを噛んでるような感じでもあるし、
オイルの詰まり感もあるような気がするし…そもそも効きが悪い…(汗)
いや、そもそも最近のスポーツカーと比べると当然効きは悪いんですけど、
全体的に微妙に嫌なタッチなんです。
ということでまずはエア抜きからやっていきます。
オイルの劣化なのか、最初は抜けてくる時に抵抗が有りましたが、
しつこくやり続けるうちにスムーズな動きになって来ました。
「これで良いんじゃない?」と試乗に行くと最初は良い感じだったのが、
踏み込みに抵抗がある状態が出たり出なかったりするようになりました。
これはエア抜き程度の簡単な作業では治りそうにないですね。
腹を括って原因を追究していきます。
最初にチェックしたのは電動のABSポンプの作動状態です。
当然ポンプに付属するアキュームレーターの圧抜けも確認します。
これが壊れているとのっけから大金使用確定の危険があるので怖いです。
交換不可欠の場合に備えて中古品の有無と相場を軽く調べてみましたが、
売り物も有るのは有るのですが、ebayでも国内でも50万以上でした…さすが馬のマークの御車。
震えながらフロントフェンダーの奥の方にあるポンプユニットを取り外し点検してみましたが、
うれしいことにポンプの作動は問題なく油圧もちゃんと維持出来ておりました。メデタシメデタシ。
ちなみにカラフルな色の制御リレー類も今のところ正常動作しておりました。メデタシメデタシ。
いや、まだ原因がわからないのでメデタクは無いのですが、何故か50万円ほど得した気になります。
次はブレーキホース(まずはキャリパーに繋がるゴムのホース部分)を点検します。
ブレーキ周りに使われている耐久性の無いOリングや劣化した変な(?)ゴムホース、
ブレーキフルードの劣化、ジョイントに使われた謎のシール類のカスなどの原因から出現する
ガム状の物が内部に蔓延り、閉塞性動脈硬化症状態ホースになっていた車両もありましたからね。
今回の場合はペダルが踏み込み難くなるほどの詰まりがあるとは思えませんが、
現在装着中のブレーキホースの経年劣化も見られますし、この機会に交換することにしました。
交換するホースはステンメッシュタイプの物のブラックカラーを国内で作成しました。
ステンメッシュホースも黒だと嫌目立ちしません。もちろん馬のマーク車純正より安く仕上りました。
んで結果は……… そうです、大方の予想通り解決しませんでした (苦笑)
もちろんブレーキタッチは変化ありましたよ。良い方向に。
金属パイプ部分のブレーキラインも点検しましたが特に問題はありませんでした。

う~ん、これはABSユニット自体の問題のような感じです。内部腐食による動作不良かな…
ここで、実は当店に持ち込まれる前に一度エア抜き作業をされたらしく、
その時の最初のオイル排出時に、かなりの量のアルミのカスみたいなものが
混入していたとの情報が入り、ABSユニット怪しい説が決定的になりました。
しかしながら、前述したABSポンプよりも更に入手性が悪そう(金額的にも…)なので
いっそABSを撤去して前期モデルの様に、ABS無しの一般的なマスターシリンダータイプに
変更してみようということになりました。
とはいうものの、前期用のFerrari純正のマスターシリンダーやマスターバックを探して
ABS無仕様に変更するのでは本末転倒も甚だしいので、当店ならではの方法を考えます。
そこで [BMW2002 / M3] 制作の時にブレーキ関係の部品手配で御世話になった知り合いの会社に
汎用性のあるマスターシリンダー/バックのセットを探してもらうことにしました。
マスターシリンダーは純正が意外と普通な15/16サイズだったのでそのサイズで、
マスターバックはスペースと前期のサイズを参考に7~8インチ位の物を希望しました。

んで、決定したのがwilwoodの↑これですね。[Power Brake Booster Kit]
本来はマスターバック無しの古いアメ車や、4輪ドラムの車両を4輪ディスクに改造する時に使用する物です。
これを違和感なく装着していきます。この先、もし正常なABSユニットが入手出来て
オリジナルに戻したくなった場合でも大丈夫なように、車両側は極力無加工でセットしたいと思います。
次回に続きます(いつも唐突に終了)